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今こそ文化芸術が必要な理由

目次:

  1. 文化芸術の振興の必要性
  2. 今の日本にこそ文化や芸術が必要な理由!軽視してはいけない!
    2-1. 経済的な豊かさと同じくらい、文化芸術は必要
    2-2. 誇りをもって生きるために
    2-3. 経済ばかりを優先すると、良い方向へは向かわない
    2-4. 物理的な貧しさよりも、心の貧しさが加速している
    2-5. 日本人の多くが見失っている、独自の文化の価値
  3. 心の豊かさとは

日本を離れいると、日本にずっといたら気づかなかったであろうことが見えてきます。
その一つが「日本の文化」の奥深さです。

1. 文化芸術の振興の必要性

文化庁より

文化は,最も広くとらえると,人間が自然とのかかわりや風土の中で生まれ,育ち,身に付けていく立ち居振る舞いや,衣食住をはじめとする暮らし,生活様式,価値観など,およそ人間と人間の生活にかかわることのすべてのことを意味するが,文化を「人間が理想を実現していくための精神活動及びその成果」という側面からとらえると,その意義については,次のように整理することができる。

(1)人間が人間らしく生きるための糧

文化は,人々に楽しさや感動,精神的な安らぎや生きる喜びをもたらし,人生を豊かにするとともに,豊かな人間性をかん養し,創造力をはぐくむものである。豊かで美しい自然の中ではぐくまれてきた文化は,人間の感性を育てるものである。

(2)共に生きる社会の基盤の形成

文化は,他者に共感する心を通じて,人と人とを結び付け,相互に理解し,尊重し合う土壌を提供するものであり,人間が協働し,共生する社会の基盤となるものである。

(3)質の高い経済活動の実現

文化の在り方は,経済活動に多大な影響を与えるとともに,文化そのものが新たな需要や高い付加価値を生み出し,多くの産業の発展に寄与し得るものである。

(4)人類の真の発展への貢献

科学技術や情報通信技術が急速に発展する中で,倫理観や人間の価値観にかかわる問題が生じており,人間尊重の価値観に基づく文化の側からの積極的な働き掛けにより,人類の真の発展がもたらされる。

(5)世界平和の礎

文化の交流を通じて,各国,各民族が互いの文化を理解し,尊重し,多様な文化を認め合うことにより,国境や言語,民族を超えて,人々の心が結び付けられ,世界平和の礎が築かれる。

文化庁 文化芸術の振興の基本的方向(平成14年12月閣議決定)

日本の政治や組織の腐敗が目立つ昨今、日本の文化庁がこのような形で基本方針を明示していることに、私は安心感と共に嬉しさを感じました。

私が想っていたことが、そのまま文章になっていたことを知り、勝手ながら運命を感じてしまった経緯があります。

ですから、このような「和の学び」というブログを立ち上げて、日々感じていることを思うままに、綴るということを始めたわけです。

この資本主義経済による現代社会においては、お金にならないことは切り捨てられていく傾向にあります。

日本の伝統文化は、海外の人たちからは新鮮な眼差しで、素晴らしいものとして受け止められています。しかし、日本人自身はその素晴らしさに気づくことなく、気づこうともしないで、それらを手離してしまっていることを、とても残念に思っている一人です。

西洋文化への過度な憧れ、崇拝
教育による、画一化された情報のみへの信頼
自虐的な思考

これらの要素が、私たちを現在のような方向へと導いていってしまったのだと思います。

私は、もう一度自分たちの文化の素晴らしさを再認識して、日本人が日本人としての誇りを持ってほしいと感じています。そして、より良い方向へ進むことができたらと、期待しています。

2. 今の日本にこそ文化や芸術が必要な理由!軽視してはいけない!

クラシック音楽の魅力を伝える、車田和寿さんのYouTubeチャンネルでは、私と同じような想いをお話しされていました。とても印象的でしたので、ご紹介します。(要約)

文化や芸術が必要な理由

2-1. 経済的な豊かさと同じくらい、文化芸術は必要

文化や芸術というものは、経済的な豊かさと同じぐらい必要。なぜなら、これらは人間の誇りに直結すると考えているからです。

人が幸せになるためには、まずは自分に自信を持つことが欠かせません。
そして自分だけではなく、自分の国に対してもある程度誇りを持てることが大事です。

おそらく、豊かな経済力を誇りに思う人もいると思います。でも国が豊かになったのは、長い歴史で見ればどこの国でも割と最近のことです。

経済的に豊かであることに越したことはありません。そして、それを誇りに思う人も結構いると思います。でも国として誇りに思えるかどうかとなると、やっぱり経済力があるかないかよりも、文化があるかないかの方が重要だと思います。

2-2. 誇りをもって生きるために

どうして文化が拠り所になるのか。それは誰もが、そうした文化の中で生活しているからです。そして多くの人がそのような文化ができるためには、100年以上もの長い年月が必要だということを分かっています。

そのようにしてできた文化というものは、自分たちを反映するものでもあります。自分たちは、こんなに素晴らしい文化の中で生きていたんだと気がついた時に、初めて自分たちが本当にその自分が置かれた環境の価値というものを理解することができます。そしてそういった価値を理解できた時に、人というのは誇りを持って生きることができるのではないかと、考えています。

最近の日本人というのは、誇りを失いつつあるのではないかと感じています。
経済的な不況が30年以上も続いて、給料は横ばいですから、そのような環境で育った若者が自信を失い、誇りを失いつつあるのは、決して不思議なことではありません。

2-3. 経済ばかりを優先すると、良い方向へは向かわない

ますます世の中では、経済というものばかりが重視されます。そして優先順位をつけた時に、お金に直結しない文化芸術の多くのものが、後回しにされてしまいます。

しかし、それでは決して世の中は良い方向に向かわないだろうと思っています。やはり良い方向に向かうためには、1人1人が自分に自信、誇りを持つというのが大事なんです。なぜならそれが、働く元気の源だからです。

だから、自分の国に文化や芸術を育む土壌があるというのが、ものすごく重要なことだと考えています。こういった文化や芸術というものをないがしろにしてしまうと、やはり自分たちのアイデンティティっていうところが育ってこないのです。誇りというものが、育ってこないのです。

やっぱり何かをやろうと思っても、肝心な元気が出てこないのです。

2-4. 物理的な貧しさよりも、心の貧しさが加速している

国が仮にお金持ちになったからと言っても、成金になってしまったのでは、僕はあんまり誇りには思えないのです。仮に少し貧しくて大変な時があったとしても、自分の国に文化や芸術伝統というものがあったら、人はそれを誇りに頑張れるのではないでしょうか。

物質的には、日本はそこまで貧しくなっているようには思っていません。それでも貧しいという言葉が頻繁に出てくるようになったのは、それは心が貧しくなっているからではないかと思います。

食べるものもなくて物もなかった時代の貧しさと比べたら、今言われてる貧しさというのは、どちらかといえば心の問題なのではないかと感じます。

戦後の日本人の多くは本当に貧しかったわけですが、それでも人々は国に誇りを持って生きていたのではないかと思います。だから貧しくても、頑張ることができたのではないでしょうか。戦争には負けたけれど、まだ日本は大丈夫だと思って、頑張った人たちがたくさんいたのです。

2-5. 日本人の多くが見失っている、独自の文化の価値

日本独自の文化というものは、国がお金を出すことによってなんとか守られているというのが現状だと思います。縮小傾向にあるのは、多くの日本人たちがそういった独自の文化の価値というものを見失ってるからです。

自分たちの文化の素晴らしさに気がついていないからです。それは現実としては、お金に直結することばかりが優先されて、文化や芸術は後回しですから、決して不思議なことではありません。これを続けていけば、今後もどんどん文化や芸術というものは、軽視されてしまうと思います。

ドイツで15年以上住んでいますが、僕の経験では文化というものは相互理解で成り立っています。自国の文化の良さを知ることで、他国の文化を尊敬できるようになります。それとは逆に、外国の文化の良さに気がつくことで、初めて自国の文化の良さに気がつくということも、よく起こるんです。

僕の経験では、何かしら文化や芸術に理解がある人は、他の文化や芸術に対しても理解を示してくれることが多いです。それはその人が、そもそも文化や芸術というものに対する価値を理解しているからです。

3. 心の豊かさとは

車田和寿氏のお話は、さらに音楽について言及されています。「クラシック音楽が好きな人ほど、日本の文化を理解しようとしている人が多いのではないか。」

私はクラシック音楽についてあまり詳しくありませんが、小さな頃からピアノとヴァイオリンを弾いています。学生時代は、楽しいと感じたことはほとんどありませんでした。でも大人になり子育てもひと段落して、自分の時間が持てるようになって練習を再開してから、音楽の楽しさが理解できるようになりました。

日々の生活が忙しく、時間的、精神的な余裕がない時に、文化芸術を楽しむゆとりはなかなか生まれません。

心の豊かさの感じ方は、人それぞれだと思います。

お金がたくさんある人は、他人へ分け与えることができる余裕があるように、心が豊かな人も、その豊かさを誰かに分け与えることができるものだと私は信じています。自分だけで精一杯にならずに、周りの人のことも自分のことのように思って行動できる人が増えたら、もっともっと居心地の良い社会になっていくはずです。

文化芸術と、心の豊かさ。

人間として決して失ってはならないものだと、改めて実感しています。