シュタイナーは、日本に何を求めていたのか
目次:
- ルドルフ・シュタイナーとは
- 今だからこそ、シュタイナーの想いを
- 日本に関するシュタイナーの考え
3-1. 文化的役割
3-2. 人智学的観点からの世界の進化
3-3. 大災害の可能性 - シュタイナーの予言とこれからの世界と日本
1. ルドルフ・シュタイナーとは
ルドルフ・シュタイナー(Rudolf Steiner 1861〜1925年)をご存知でしょうか。彼は、オーストリア出身の哲学者であり、神秘思想家、教育者として知られています。彼は人智学(アントロポゾフィー)という哲学体系を構築し、シュタイナー教育(いわゆる「シュタイナー学校」)の創設者としても有名です。
シュタイナーがこの世を去ってから、今年でちょうど100年になります。今でも世界中に、彼の想いが伝えられているシュタイナー学校があります。それまではまったく知らない学校でしたが、偶然にも知人の勧めで私の娘たちは、シュタイナー学校から、ニュージーランドでの生活を始めました。今から12年前のことです。
あのヒトラーが彼の考えを怖れたそうですから、当時の世の中の方向と相反するものだったのでしょう。世の中の大きな流れは、当時とどれほど変わっていったのでしょう。本質的な流れは、あまり変わっていないのかもしれません。実際に今目の前には、矛盾に満ちた悲惨な光景が広がっています。
このような世の中にあって、シュタイナーの考えは、今を生きる日本人にとって、とても意味のあることだと思えてなりません。それは、私だけなのでしょうか。。
2. 今だからこそ、シュタイナーの想いを
最近、シュタイナーが語ったとされる予言を、目にすることがあります。2025年、今年は変革の年であることを、様々な方面の専門家たちが話されていますが、それらとどうやら一致しているようです。
彼の活動は、教育者としてだけでなく、医学、農業、経済、芸術など多岐に渡りました。そして、物質世界を超えた、精神世界ついての造詣が深い印象があります。
子供の精神性や創造性を重視した教育
環境調和するバイオダイナミック農法
病気を身体、魂、精神バランスの崩れと捉える医学
オイリュトミー芸術
などが、よく知られています。
「シュタイナー学校は、宗教だ。」と、ある宗教家の方から、批判を直接受けたことがあります。宗教家の方がおっしゃっていた宗教とは、自分が信じている神こそ唯一無二のものだから、それとは異なる思想は許されない、という意味なのだと、私は当時受け止めました。
シュタイナー学校には一年とちょっとしか通いませんでしたが、彼の想いは、宗教という枠を超えたものだと、私自身は感じました。世の中の主流とは違うことを、学校という枠の中で行うことは、一見異様な雰囲気を醸し出しているのかもしれません。精神世界のことを基盤に置いている点では、宗教という表現しか選択肢がない、実に残念な世の中だな、と感じます。
さて今回は、100年以上前からシュタイナーの語られていたことが日々の生活の中で実感、理解できる、時代的にもちょうど良いタイミングなのではないか、と感じたので、ここでご紹介します。
3. 日本に関するシュタイナーの考え
シュタイナーは特に日本やアジアに言及することは少なかったものの、以下のような点で日本に関連付けられます。
シュタイナーの「予言」については、彼が一般的な予言者のように未来を具体的に描いたものではなく、霊的な洞察を元にした時代や人間社会に関する抽象的な発言が多いのが特徴的です。
3-1. 文化的役割
シュタイナーは、東洋と西洋の文化の違いや、それぞれの精神的な役割について言及しています。彼によると、東洋(特に日本や中国)は古代から霊性を重視し、精神的な知恵が蓄積されている一方、西洋は科学技術や外的な発展を進める役割を担ってきたとしています。未来においては、東洋と西洋の調和が重要になるという主張をしています。
3-2. 人智学的観点からの世界の進化
シュタイナーは、人間の精神的進化において日本のような東洋文化が果たす役割に期待を寄せる言葉を残しています。日本を具体的に「未来の中心」とした発言があるわけではないものの、霊性と物質的発展の融合が重要であると述べています。
物質主義の行き過ぎによる、現代社会の危機と、霊性の進化の必要性を説いています。物質的なものと精神的なもののバランスが、何よりも重要だという認識です。
3-3. 大災害の可能性
シュタイナーの著作や講義の中には、現代社会が物質主義に偏りすぎると大きな災害を招く可能性があるという警告が含まれています。この点は、直接的に日本を指しているわけではありませんが、自然災害が多い日本においては、特に注目される考え方だと言えます。
4. シュタイナーの予言とこれからの世界と日本
シュタイナーは100年前に亡くなられた方ですが、今この時代の様子をよく言い当てています。ですから、彼の予言という表現で、最近話題になっているようです。例えば
人間の物質主義や利己主義が助長し、社会の分断と混乱引き起こすと警告していた。
経済格差や環境破壊戦争や病気など、人間の行動や社会現象を通じて姿を表す。
経済のグローバル化によって利益追求型の競争が加速し、人々の精神性や共感力が失われれていく現象。
このような記述があります。まさしく、彼が生きていた時代に、現在のような社会なることを、彼はお見通しだったわけです。
シュタイナーは、日本が古くから精神性を重視し自然と調和した文化を持つ国であることに注目していました。つまり、これからの時代は、精神性の重視が必要だから、日本はその点において果たすべき役割がある、と伝えているのです。
彼の書籍、原本を実際に私が読んだわけではないので、どこまで彼が日本ついて言及していたのか、わかりません。
ただ、シュタイナーの想いとしては、直感的に共感しています。彼は、現在がまさに転換点であること。そして物質的、精神的バランスのためには、日本の伝統的な文化、考え方が大切になっていくことを教えてくれているような気がします。
日本は、世界で一番歴史のある国です。脈々と受け継がれてきたこの国の文化から、その叡智を学ぶ機会に私たちは恵まれています。世界の明るい未来へのヒントが、この日本にあると言っても過言ではありません。海外から来られる多くの方々も、精神世界が感じられる日本の文化に、その可能性を感じているのではないのでしょうか。
「和の学び」は、そのような意味でも大切にしていきたいと、私はそう感じています。