
昨年3月、三重県を訪れて協生農法のセミナーを二日間受けてきました。
協生農法と理論の講習会、伊勢への訪問
全国に耕作放棄地が広がる現実と、食糧に対する危機感を、私なりに募らせていたからでした。
健康は食から。
日本で、口腔領域の専門家(歯科医師)として働いていたこと。そして、自分自身の体調不良からの復活の経験から、食は重要なことだと認識しています。
同時に、最近の世界的な経済不安の動向にも目が向く中、経済情報として目に飛び込んできたのが、この記事でした。
【岡山大学】地域共創型取り組み「協生農法プロジェクト」が始動~耕作放棄地の再生を通じて、自然共生型の地域づくりを目指す~
地域資源の利活用を通じて生物多様性の保持と人と自然の共生の実現を目指し、学生が中心となって文理融合・世代横断で進めていきます。
協生農法とは、無耕起・無施肥・無農薬を原則とし、自然環境そのものの力を生かして多様な植物が共存できる生態系を構築・管理する農法です。
単一の作物を大量に栽培するのではなく、環境に適応した複数の作物や野生植物を組み合わせて、持続可能な農業と豊かな生物多様性の実現を図ります。
岡山県出身の知人が、こちらにいます。
ご高齢のご両親が、今でも米づくりをされていて、農地を守られているそうです。最近、その地域でも有機栽培に切り替える動きがあることを、教えてくれました。
岡山大学をはじめ、周辺地域の今後の取り組みに注目していきたいと思います。
ところで、自然と共生する様々な農法が知られている中で、なぜ協生農法が注目されているのでしょうか。
それは、耕作放棄地の再生方法が、明確に示されている点にあります。ただ、現時点で日本では専業で協生農法で生計を立てている方を聞きません(すでに、いらっしゃるかもしれませんが)。海外での実験で、収穫量と収益が従来と比較にならないほど多いことは、事実です。ですから、その点が実際に日本でも認識されていけば、方向性は変わっていくはずです。
ところで以前、拠点を持った町の役場に問い合わせをしたことがあります。
耕作放棄地の再生、に関して予算を立てて方針に従って進めていくという内容を広報で読みました。方法を知りたかったので、具体的にどのように進めていくのですか、とメールで質問を送ってみました。
ところが、(当然かもしれませんが)返事は返ってきませんでした。
そもそも、具体策などないのです。何も変わりたくない、変わる必要もない。他所から来たものが、何を言うのか。おそらく、そんなところだと感じました。
もし、町が本当に対策を講じているのなら、答えてくれたでしょう。
そうでなく、解決策を本当に探しているのなら、少しでも耳を傾けてくれるきっかけを、作ってもらえたかもしれません。
勝手ながら、近所の農家の方にもお話をしたことがあります。
大きな障害はまず最初に、無農薬、無肥料で作物が育つわけがない、という概念です。たとえ育ったとしても、貧弱で売り物にならない、そのようにイメージされてしまうのだと感じました。
素人が、何をおかしなことを言っているのか。話にならない。そんな雰囲気を感じたことは、事実です。例えば、この病気を治すのに特別な医者は必要ない、薬も必要ない、なんて言ったら。。普通の人ならば怒り出してしまうかもしれません。それくらいの、インパクトがあるのでしょう。
そのような中でも、大学生がプロジェクトに参加するというのは、とても意義のあることだと思います。しかも、岡山大学の協生農法プロジェクトには、”農学部、工学部、経済学部、資源植物科学研究所の学生・教職員など、分野や職種を越えた多様なメンバー約20人が参加”と書かれていました。
プロジェクトの動向を、楽しみに見守っていきたいと思います。