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グローバルなトレンド、日本の伝統工芸

目次:

  1. 消費者の価値観の変化
  2. どのようにしてその価値を、表現していくか
  3. 海外での展示、販売方法
  4. 海外での文化交流の「本当の目的」

日本に一時帰国して、3日が経ちました。到着日にちょうど関東を直撃すると予測されていた台風も、影響を受けずに、無事日本に来ることができました。

今回は約4ヶ月ぶりの日本です。

前回にも増して、慌ただしい雰囲気を感じています。様々な意味での不安定さが、顕著になってきているようですが、転換期への通過点として必要なことなのかもしれません。

今回の一時帰国は、今年ニュージーランドで芸術文化交流組織を立ち上げるに当たって、日本で必要なことをする、という目的もあります。

そこでもう一度、原点に立ち返り、私の設立目的の代弁をしてくださっているような記事を見つけたので、ここでご紹介します。

1. 消費者の価値観の変化

近年、世界各国の消費者は大量生産された無機質な商品に対する飽きや疑問を感じ始め、より意味のある、ストーリーを持つ商品に目を向けています。この変化は、特に伝統工芸品が持つ独自性、品質、そして製作に込められた意味や文化的価値に対する関心の高まりに明らかに表れています。イギリスでの日本の伝統工芸品の人気は、このようなグローバルなトレンドの顕著な例です。イギリス人消費者が日本の伝統工芸品に魅了される理由は多岐にわたりますが、その中核には深い共感と文化的好奇心が存在します。

この興味の高まりは、単に一過性の流行に留まらず、より深い文化間交流と理解の促進に寄与しています。日本の伝統工芸品がイギリスのみならず、世界中で注目される背景には、消費者の価値観の変化があります。環境への配慮、サステナビリティ、手作りへの尊敬、そして何よりも物語を重んじる心情が、伝統工芸品への関心を高めています。このような価値観は、特に若い世代の間で強く見られ、彼らは自分たちの消費行動を通じて世界にポジティブな影響を与えたいと考えています。

伝統が紡ぐ世界:工芸品を通じた文化の交流

大量生産されたものが溢れているこの現代社会において、それとは真逆の人の温もりが感じられるものを、人々は求めようになるだろう。私がそのように感じたのは、コロナで家に閉じ込められていた時でした。

人間関係も、無機質なものになりつつあります。食べ物も、そうです。

それが当たり前で、良いと思う人たちがほとんどかもしれません。しかし一定数の人たちはこれらに疑問を持ち、世の中の与えられた流れとは真逆のことを求めるだろうと感じたのです。

だからこそ、今、日本の伝統工芸品をはじめとした日本の伝統的な芸術、文化に私は期待をしています。お金や名誉が目的ではなく、黙々と納得したものを作り上げる本来の日本人の職人魂のようなものに、私はとても心惹かれます。

完成された作品の中に、その心が伝わります。純粋に、美しいと思います。モノは、単なるモノではありません。

特に伝統工芸品は、それらの美を日常生活の中で使いながら味わっていくものですから、日々の生活の中で心豊かな暮らしができます。

この記事に記されているような消費者の価値観の変化は、人間として当然の傾向だと、私は思います。

2. どのようにしてその価値を、表現していくか

ニュージーランドの家の近所の絵画販売店で、日本の浮世絵が販売されています。展示しきれないものが、机の上に山積みにされていました。

和紙がボロボロで、シミだらけ。古いものに価値をおき、それらを買い求める消費者の気持ちもわかります。ただ、日本ではとても安価で手に入るであろうこれらのものが、(当時の浮世絵の質の見分け方を、私は日本で教えてもらったことがあります。)かなりの高値で販売されていることに、違和感を感じました。

本当に、浮世絵のことが購入者に伝わっているのだろうか。古いものだから、商品的に価値があるものだろうという購入者の思い込みだけで、売買されていないだろうか。

もし、本当に価値のあるものが、単なるモノとして海外で販売されるとしたら、それは違う、と私は日本人として感じたのです。

そのものの価値を、どのように伝えていくのか。それは、とても大切なことです。作り手の心が最後の買い手まで純粋に伝わることで、そのモノの価値は、本来の価値を発揮することができると思います。

海外で芸術文化交流組織の必要性を感じたのは、このようなことが理由です。

3. 海外での展示、販売方法

現時点で、最善の方法を模索中です。ニュージーランドは、日本ではオーストラリアに付随した小さな国、のような認識をされている傾向にあります。

一年以上前に、ある日本の国の機関に相談したのですが、「意欲は感じられますが、、」と電話の向こうで笑われただけで終わりました。仕方ありません。

今回は、一歩進んで伝統工芸品の貿易に特化した機関に、相談に伺う予定です。

ニュージーランドは人口が少なく、日本にとってはニューヨークはパリなどとは違いインパクトは薄いかもしれません。しかし、微力ながらも海外在住の日本人だからこそできることは、あります。

小さなことかもしれませんが、無理なくできる範囲で、組織としてできることを、やっていきたいと考えています。

4. 海外での文化交流の「本当の目的」

海外で組織を運営する本当の目的は、海外の人たちにもっと日本の伝統文化を知ってほしいからではありません。もちろん、それは目的の一つではありますが、その先にあるものが本当の目的です。

つまり、日本人自身に、日本の伝統文化の素晴らしさに、もっと気づいてほしいのです。

日本は様々な分野で、世界的に見て洗練されている部分が多々あります。才能あふれる人たちも、多いと思います。日本を外から眺めてみて、気づきました。

私自身、日本にいた時は伝統文化などまったく興味がありませんでした。茶道一つ、そうでした。母が時々家で茶道のお点前をしていたのですが、私はお菓子が食べられるというだけで正座して眺めていただけで、正直なところ正座をすることさえ、面倒でした。

日本から一歩出ると、日本では当たり前だったことが、実はそうではなかったことに気付かされます。

日本では埋もれてしまう才能も、海外に出て初めて認められることもあります。伝統文化も、似ているかもしれません。海外で、海外の人たちに注目されることで、回り回って日本でもその価値が注目されて認められるようになる。そのような橋渡しの役割を少しでも担えたなら、組織としての目的は達成されることになります。

そのための目的達成の準備を、今回は日本滞在中にしていきます。何人かの方々にもお会いする約束をしているので、今後どのように進展していくのか、とても楽しみです。