Wanomanabi logo

アートと文化の交流組織、海外での立ち上げに向けて

No items found.

アートと文化の交流組織、海外での立ち上げに向けて

目次:

  1. 必然性を感じたきっかけ
  2. 文化交流組織の設立目的
  3. 名前に込めた、平和的な意味
  4. なぜ、ニュージーランドなのか
  5. 活動の方向性(案) 
    5-1. 日本の伝統工芸品、美術品の展示、販売の場の提供
    5-2. 日本の文化体験の場の提供
    5-3. 日本とニュージーランド、アートと文化の架け橋
    5-4. 日本からの来客への対応
  6. 実現に向けて

1. 必然性を感じたきっかけ

2024年7月11日、この日は私にとって念願の記念すべき日になりました。

楽しい文化交流
文化交流

一年半ほど前に、日本の伝統的な工芸品や美術品の素晴らしさに突然気づいてしまってからというもの、どのようにして関わっていけばいいのか、模索し続けていました。

伝統的な工芸品は、工芸品というよりも美術品、芸術品です。日本には、何百年どころか千年以上もの長い歴史の中で受け継がれてきた、文化や芸術が数多くあります。しかし残念ながら、それらを受け継ぐ人たちも少なくなり、その多くが消えつつあります。

ちょうど一年ほど前に、私は日本に一時帰国しました。その際には、和紙職人、和紙絵作家、浮世絵など木版画の摺師の方にお会いしてきました。

そして、みなさん日本国内での需要に限界を感じられていて、海外での作品の展示や販路に、とても興味を示されていました。

ニュージーランドに戻ってきた直後に、私はこちらで長年文化交流に携わってきた日本人を訪ねることにしました。自分にできる活動の方法が、何かないのだろうか。そして、日本での現状を訴えたのです。

あれから、ちょうど1年。
今回は、ニュージーランドに住んでいる日本人の若者たちと一緒に、彼女に再びお会いしてお話をする機会が得られました。

そしてついに、新たに文化交流の組織を立ち上げる方向で、話がまとまりました。

念願のスタートです。

2. 文化交流組織の設立目的

「日本の伝統的な文化を丁寧に魅力的に伝え、知ってもらい、心豊かに楽しんでいただくこと。」

今こそ、文化芸術が必要な理由 の過去記事のように、私は今だからこそ、必要なことだと感じています。それぞれに自国の文化を大切にしていけばそれでいいのだとは思います。でも現在では、そんな悠長なことも言っていられません。

特に日本は、自分の国の多くの良さに気づかずに、無関心になってきてしまっています。

明治維新で多くの西洋文化を取り入れてからというもの、日本では西洋文化こそが最先端で洗練されたものだとされてきました。同時に、日本の文化は次第に失われていっていきました。さらに加速していったのが、私が生まれてまもなくの頃だったのでしょう。伝統的工芸品の生産額と従事者数は、この50年ほどの間に統計資料にもよりますが、5分の1から10分の1ほどに激減していきました。

日本では、今でも当たり前のように目にすることができる伝統工芸品。ただ、安価で大量生産が主流のこの時代に、その真逆のものが一般的に求められるのかといえば、そうではないでしょう。

だからこそ、注目していただける何か仕掛けが、必要だと思うのです。世界的にも注目されるに値する文化を、私たちは受け継いでいるのですから。。

3. 名前に込めた、平和的な意味

現在、私が勝手に一人で想像している名前があります。

マオリ語です。夜明け、明るい、世界、地球、日、雲という意味と、海という意味を組み合わせたものです。

青く明るく光る地球と海。ふと、そんなイメージが浮かび上がってきました。

これは、沖縄の海と空。

どこまでも、明るい空と海で全世界が繋がっているこの地球。まさに、空海。どこまでも分け隔てなく、無限に広がる世界です。

文化的な活動は、お互いの文化を尊重しながら、人種を越えて心の平和を保つことのできる、ひとつの手段だと私は考えています。

似たような名前が、すでにハワイにあります。また、女の子が主人公の、ディズニー映画にも、この名前が使われています。ハワイもニュージーランドも同じ太平洋の島国なので、原住民の文化はよく似ています。だから、このような共通の言葉もあるようですね。

この名前で、いいものなのか。本当のところは、マオリ語が理解できる人たちに、ニュアンス的におかしくないものなのか、確認してみる必要がありそうです。

まだ原案の段階なので、決定したらお知らせします!

4. なぜ、ニュージーランドなのか

私は、「日本こそが凄い!」などと言うつもりは全くありません。

ただ、日本には長い歴史があり、豊かな自然があり、そこで培われてきた文化や技術がたくさんあることは、事実です。

日本人の心を受け継ぐ者として、それらを伝えながら、日本、ニュージーランド、そして世界の人々に向けて、何かできることがあるのでは、と考えたのです。

自然と共存した、より良い明るい未来を共に築き上げていく一助になれるような、活動です。

ニュージーランドは、日本と比較をすると、とても人口の少ない国です。(約520万人)日本が伝統工芸品をアメリカ、中国、ヨーロッパに向けて広げていこうとしている傾向を見れば、人口的、経済的なインパクトは少ないとのでは、と思われるかもしれません。

しかし私は、北半球と南半球のそれぞれ同じような緯度に位置する、また国土の形も大きさもなんとなく似ているこのニュージーランドと日本に、いくつかの共通点を感じています。だからこそ、この国で活動をする意義があるのでは、と考えています。

お互いに、豊かな水と大自然、海に囲まれた、島国です。四季もあります。

また、マオリ族の人たちの存在があります。マオリ語にも「あいうえお」の母音があり、日本語にどことなく似ています。そして、マオリ族の人たちの伝統的な考え方は、日本人のそれによく似ています。言葉にするのは難しいのですが、”すべてのものに神が宿る”的な共通認識を持っていると、私は理解しています。

同じ環太平洋に属する、島。まるで兄弟姉妹のような関係です。

日本とニュージーランド
さて、ニュージーランドはどこにあるでしょうか?(ヒント:南半球)

5. 活動の方向性(案)

これもまだ、私の頭の中での構想の段階です。必要性、実現性によって、変化していくと思います。

5-1. 日本の伝統工芸品、美術品の展示、販売の場の提供

生活に身近なところで、生活目線、市民レベルで楽しんでいただけるような場所での展示販売ができたら、と想像しています。

日本人として、可能な限り正確な情報をお伝えしながら、正真正銘本物を、上手に表現しながら展示販売することが目標です。

最初は、個人的にお付き合いのある方々の作品を取り扱っていきますが、段階的に規模を少しずつ大きくしていければ理想的です。必要性、要望、需要に応じて、仕組みづくりをしていきます。

5-2. 日本の文化体験の場の提供

どんなに小さなことでも、文化交流の場になります。折り紙ひとつ、立派な文化交流です。

日本から助成金を利用して特定の方々をお招きして、定期的に大きなイベントをしていきます。それと同時に、日常的に気軽に参加してもらえるような、小さなイベントの仕組みも考えています。

先日、日本で水引をされている方が、プライベートでニュージーランドに遊びに来られていました。こちらの何人かの友人と、ワークショップを行うと話されていました。

何か技術をお持ちの方々がこちらに遊びに来られる際に、現地の方々と交流できるようにオーガナイズすることができれば、気軽に体験の場をご提供できます。

ニュージーランドの原住民マオリ族の木彫りが面白い
マオリ族の木彫り

5-3. 日本とニュージーランド、アートと文化の架け橋

ニュージーランドにおいて、Bridging Culture: The Rising Tide of Asian Arts in New Zealand でも書かれているように、昨今アジアのアートへの注目度が高まり、アートを通じた交流活動が盛んになりつつあります。

日本のアートに関して、このような機関と連携を図っていくことも視野に入れています。

また、マオリの伝統工芸品や文化を日本に紹介して、展示販売を行うこともできます。直接企画をするだけでなく、日本でマオリの文化を紹介したいという要望が日本からあれば、その架け橋を行うこともできます。

日本人の考え方と共通した、マオリ族の文化を日本に紹介するにあたって、マオリの絵本の日本語版を日本で出版する、というのも面白いかもしれません。

アートだけでなくその他の分野においても、交流の架け橋の役割を担います。

5-4. 日本からの来客への対応

ニュージーランドで講師、演者として参加してくださる、日本から来られた方々への対応をします。

ワークショップやイベントを現地で開催するにあたって、移動や宿泊など滞在についてオーガナイズします。組織として、どのように関わることができるのか。また、要望があるのかを見極めていきます。

ニュージーランドの原住民マオリ族の木彫り
マオリ族の木彫りは、有名です。

6. 実現に向けて

まずは、ニュージーランドで組織として登録することになります。

Incorporated societies という形が、ニュージーランドの非営利団体としては最も一般的なのだそうです。メンバーは、10名以上という決まりです。

今年中に登録の申請をすると同時に、仕組みづくりを進めていきたいと思います。

そしてまずは、メンバー自身が活動を楽しむことが一番大切です。無理をして何かをやる必要性は、全くありません。

今までの資本主義経済の欠点は、誰かにエネルギーが偏ってしまうことでした。お金も地位も権力も、みんなエネルギーです。損得という概念で物事を判断していくのではなく、共存共栄です。みんながハッピーになれたら、理想的です。

また、無理をしないというのは、手抜きをするという意味ではありません。ひとりひとりがその役割のプロとして、その自覚を持ちながら活動をすることです。

以上、まだ形になっていないものを、あれこれと想像しながらここまでお話をしてきました。想像なくして創造はできませんので、私はこの3週間ほど、様々なことを想ってきました。いいえ、本当はこの一年半です。

笑われながらも、無視されながらも、なんとか形にならないものかと、ここまできました。

今年から来年いっぱいまでの間に、どれくらいの形になっていくのか、しっかりと見届けていきたいと思います。

さて、これからが楽しみです!