
3年間住んでいた家を、売却を理由に退去を言い渡されて早1ヶ月。
この間の日曜日に、やっと新しい家に引っ越しをしました。
日本から移住して、もうすぐ12年。同じ市内での引っ越しは、小さいものを含めて9回目になります。そういえば、今日本は引っ越しのシーズンですね。
今回は、2人の子供たちがすでに日本に帰国して、ここに残った3番目と私の2人での引っ越しになりました。私も遅くても来年には、日本への帰国を予定しています。この国に1人で残る娘が、そのまま一人暮らしができるようにと、今回はワンルームの部屋を選びました。
こちらには、そもそもワンルームに一人暮らしという習慣がありません。知らない人たちと、一軒家やアパートをシェアして住むフラットが一般的です。でも、ずっと家族で暮らしてきて、さすがにこのような習慣に娘も慣れていません。ベースメントと呼ばれる、上に大家さんが住んでいて、玄関や部屋を別にする物件を探してきました。
このようなタイプの部屋は、日当たりが悪いイメージがありますが、ここは日当たりが良く、緑もいっぱい。広いブッシュが生い茂る、中心部からは少し離れた地域に移動したので、空気が美味しくのんびりしています。ニュージーランドに移住してきた当初に通っていた学校の隣の地域で、よく車で通っていたので馴染みの場所です。
引っ越してきた当日、お隣さんが車をブンブン走らせて通り過ぎていきました。今まで実際に見たこともないようなおんぼろ車に、質素な身なりに長髪姿の男性。漫画みたいな光景と、先ほどまでいた住環境とのあまりのギャップに、思わず吹き出してしまいました。
こうして中心地と海が同時に目の前に広がる一等地から、急に“ボロ屋”に引っ越してきたわけですが、2、3日もすれば「住めば都」のような感覚になるのですから不思議です。
初めての一人暮らしのような、質素な住まいは、きっと彼女にとって良い思い出になるでしょう。私は娘の部屋に居候している親、のような立場です。家賃も物価も高いこの国で、独り立ちするまでの繋ぎ、みたいなものです。
地域が変わって、遠くて通うのも不便なので、アルバイトも辞めるそうです。最近は、アルバイトの仕事を見つけるのも楽ではない、のだそうです。親としては、来年の就職につながるような職を得てほしいと願っていますが、社会情勢的にもどのようになっていくのでしょう。
さて、引っ越しのお話ですが、私は引っ越すことがまったく苦になりません。引っ越すたびに荷物を整理して、家の埃も綺麗にできるわけですから、気持ちもさっぱりします。
この3年間で溜まった汚れは、実は相当なものでした。
ベッドの後ろ、棚の中、冷蔵庫、窓など、この3週間あまり毎日のように掃除と荷物整理に明け暮れていました。必要なくなったものも数多く、売ったり捨てたりと、大変です。実は今でも前の家の一部屋とガレージをお借りして、それぞれの物の行き先を探し続いています。
ピアノもそのひとつ。
お気に入りのピアノなので手離したくないのですが、こればかりは仕方ありません。100歳以上のこのピアノ。音色も良く、今でも現役で働いてくれる素敵なピアノですが、市場価格はゼロなのだそうです。今まで何人かの調律師に頼んできましたが、「こんなピアノ、ちゃんと調律なんてできない。」と、適当に短時間で調律を終えて、捨て台詞を吐いて行く人もいました。評価格ゼロと言った調律師も、「あるサイトに出してみたら、それでも難しいだろうけど。」と、なんだか悲しい対応しかしてもらえずに、ここまで来ました。
古いものはお払い箱、といった風潮は、今や世界共通なのかもしれません。まだまだ、良い音色を奏でてくれるのに、もったいない。現代で、こんな素敵なピアノはもう誰も作れないだろうなぁ、と思うと、尚更もったいないと思ってしまいます。
今まで住んでいたお宅も、100歳以上。
既存の家具を全部処分した後に、エージェントが家具等を持ち込んで見栄えを良くしてから販売を開始することになっているのだそうです。しかも、「モダンな家具」でデザインするのだとか。
パッと見だけの安っぽい家具を置いたら、家の品格が下がると私は思うのですが、買い手の趣味の主流はやっぱり「モダン」なのでしょうか。
こちらでは、家の販売の際にこのように家具ごとコーディネートするのが一般的です。写真映りも素晴らしく、実物とのギャップに驚かされることも多いのが現状です。
さて、今回のテーマは「お引っ越しの勧め」。
物理的にも精神的にも、軽くなるお引っ越しを、私は経験上お勧めしたいと思います。家を購入して、根を張って生活する豊かさもありますが、賃貸で転々と生活環境を変えるのもまた、良いものです。
環境が変われば、見える景色も、そして体験できることも変わります。新しい体験をすれば、人間的にも成長できるチャンスが広がります。そして何よりも、諸々の垢が落ちることで、次のステージへとステップアップできます。
とは言え、私自身まだまだ捨てられないものもたくさん抱えています。今まで生活の一部として機能して働いてくれていたものを、ゴミとして捨てることへの罪悪感。便利で快適な生活と引き換えに、どうしても溢れてしまう物たち。
次から次へと、新しい洋服などを買っては捨てていく娘たちとの生活とも、あともう少し。私は私のペースで生活できることを、今から楽しみにしています。
ところでここ数日、夜10時には寝ることにしています。
体力的な疲れがあったのも理由の一つですが、環境が変わると新しいことを始めやすくなります。
それが、びっくり。次の日の朝、顔の肌がすべすべになっているのです!どんな高価なケア製品より、睡眠に優るものはありません。肌の状態が激変するのですから、健康にも間違いなく良いでしょうね。
お引っ越しによる効用、これからまだまだ出てきそうで、楽しみです。