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海外の贅沢な生活にお別れ

目次:

  1. 海外生活8年の間にお引っ越しが7回も
  2. 異常な高騰とトラブル
  3. 築100年以上の豪邸
  4. 「心」の話が日本ニュージーランドで繋がった
  5. 「心が先、物質は後。」
  6. 癒しの芸術がテーマ
  7. 100年以上前の王室御用達のピアノ

1. 海外生活8年の間にお引っ越しが7回も

ニュージーランドに移住してきて、もうすぐ12年が経ちます。
日本の小学校を卒業したばかりの長女を筆頭に、3人の子供たちを連れてきました。今ここに残っているのは、3番目のみ。今年で、大学生も終わりです。

引っ越しを繰り返してきた12年の中で、今の家は8軒目でした。短くて数週間、長くて2年以内に引っ越しをしてきた中で、この8軒目は最長で、4年と少しいたことになります。

まるで、追われる犯罪者のように?(笑)、それまで引っ越しばかりしていました。こちらは大抵、賃貸契約は1年間です。その後は、大家さんの都合で退去をしてほしい場合は90日前に、貸借人が退去したい場合は21日前には伝えることになっています。

今回は、今日退去してほしいと伝えられたので、3か月後までに次の家を見つけて出て行かなければなりません。家を売却することに、決めたそうです。

以前、退去してほしいと伝えられてから、6週間という期限で出て行かなければいけない時がありました。大家さんの家族がその家に戻ってくる場合は、引っ越しまでに1か月半の猶予しかありません。

家賃の高騰と、その割に質が伴っていない家に、今まで驚かされてきました。どんなにボロくても、一軒家を借りると最低月に25万円くらいはします。

今、この町は家の販売価格の平均がミリオン(円で億)を超えているので、どう考えてもおかしな話なのです。

2. 異常な高騰とトラブル

私が移住してきた当初は、今に比べればまだマシな値段でした。でも、ビザがどうなるかわからない状況の中、とても購入なんてできません。それに、賃貸で借りている間も、夜中にいきなり温水が吹き出して部屋が水浸しになったり、頻繁に起きる雨漏りなど様々なトラブルに出会しました。

それなりの家賃の家に住んで、これが標準です。流石に夜中のトラブルは大家を頼るわけにはいきませんでしたが、度重なる家の問題に、もし家を購入していたら大変だったな、とその度に思ったものでした。

「どうして、家を買わないの?」

家の値上がりの流れに沿って、買い替えながら利益を上げていく人たちからは、不思議そうに言われました。でももし、手元に大金があったとしても、やっぱり私は家は購入しなかったでしょう。

この4年間、住まわせてもらってきた家は、特別でした。

3. 築100年以上の豪邸

4年ちょっと前は、ちょうどコロナで厳しかった頃でした。家のオーナーさんご家族は、あまりの厳しさに、この国での滞在を諦めて、日本に帰国されたのでした。彼らはこの国がとても気に入って、今では築100年をゆうにこえたこの家を、20年以上前に購入しました。少しずつ家を修理しながら「やっと住みやすくなったのにね。」と言われながら帰国されたのを、今日のことのように覚えています。

空家のままでは良くないからと、この家の住人になって、と言われたのがきっかけです。本当に、夢のようなお屋敷でした。

そして、富裕層の方の考え方、発言、行動、すべてが「普通」ではなく、たくさんのことを学ばせていただきました。

世間一般では、富裕層に対して偏見があると思います。でも、精神的な世界のこともよくご存知で、私のような一般の人たちにも普通に接してくださる、気さくな方でした。

驚いたのは、日本の神話「古事記」や「縄文の豊かさと限界」の本が、家の本棚にあったことです。真の豊かさとは何かということを、追求されていたのだと思います。

家の本棚に置いてあった本

そして私が一番学ばせていただいたことは「心」のことです。

4. 「心」の話が日本ニュージーランドで繋がった

以前、「日本神話の神々と徳島の空」の記事の中で、国産みと「心」という漢字 について触れました。

「心が、一番大切」
ということを暗に教えてくださったのも、この家のオーナーの方です。

石庭の「心」の表現

素晴らしい景色を眺める裏庭に、かつてプールがありました。蚊の発生を防ぐために、そのプールが石庭になっています。「心」という漢字を表現したのだそうです。

一番左の、石が立っている部分。
これは、「心」という漢字の一点目です。

Sail Rock, Cathedral Cove, Coromandel Peninsula

家の中に、このような写真が飾られていました。Sail Rock, Cathedral Cove, Coromandel Peninsulaと書いてあります。これはニュージーランドの北島コロマンデル半島にある、岩です。

先ほどの、「心」という漢字の第一画に、そっくりな形をしています。

さらに、日本を思い出します。

国生み神話 淡路島にある上立神岩

国生みの神話が伝わる、淡路島にある上立神岩です。形が、そっくりです!

淡路島とニュージーランドは、日本地図と世界地図を比較すると、類似していると言われています。四国が、オーストラリアと同じ位置と形になります。

国生みの神話が残されている淡路島と、ここニュージーランドに、似たような形の岩があるのも不思議です。

心の第一画、最初の一点は、見えないものから誕生して、心という字や形になりました。

5.「心が先、物質は後。」

その象徴の形である岩が、国生みの神話として残っているのですから、私には偶然とは思えません。(もちろん、この家のオーナーさんが、このようなお話をされていたわけではありませんが。)

この地球上の世界ができた時、人間や生物がいきなり住むことはできません。ですから、まず最初に海の底と陸ができたのではないのでしょうか。つまり、石、鉱物です。人間をはじめとする動物には食べ物が必要なので、その次に植物。

鉱物、植物、動物と徐々に誕生して、人間が住むことができる地球になりました。そして、その始まりは心。心がなければ、この地球は誕生できませんでした。神の心からできた、岩です。岩をはじめ、目に見えているものは全て神の心、意識、生命から誕生しています。

以上、「心」という漢字と国生みの岩について、私が思いついたストーリーでした。

6. 癒しの芸術がテーマ

さて、今日は退去の話を聞いて少しショックを受け、久しぶりにボーッとしながら音楽を聴いていました。

当時最高級だったであろう、スピーカーが部屋に幾つも取り付けられたオーディオルームがあります。ヒーリングヴォイスと書かれたCDがプレーヤーの中に入っていたので、時々その曲を聴いています。ステージの音楽を、部屋で聴いているような感覚です。まさに、癒しの音楽です。

国も場所も変わり、見える景色は変わりますが、現在計画している神奈川県西部の和風邸宅での活動。そこでも、「癒しの音楽」を取り扱います。

432Hzのピアノをはじめ、掘り炬燵のある和室は、すでにオーディオルームになっています。技術の集大成、ということでレコード、CD、DVD、さらにスマホ等を音源に、良質の音楽と映像が楽しめます。

現在、音楽家の方や写真家、また音楽療法(厳密には医療レベル)、ランドスケープの専門家等と話を進めています。食はとても大切な分野なので、当初は農業x芸術としてリトリートを計画していました。しかし、様々な出会いの中で、芸術に特化した方が良いと判断しました。この中には、伝統文化、伝統芸術も含まれます。

農業の方は追々、希望者を募って実験農場をシェアする構想を思い描いています。

また時期が来ましたら、現在の計画を公表したいと考えています。

110年以上前のピアノ

7. 100年以上前の王室御用達のピアノ

さて、このアップライトピアノは、今のニュージーランドの家にあるピアノです。

この国は、昔のイギリスの影響が強いので、このようなアンティークなものがよくあります。このピアノは1728年に創業され、現存する最古のピアノメーカー、英国王室御用達の「ジョン・ブロードウッド・アンド・サンズ(John Broadwood and Sons)」のピアノです。

この家と同じくらいの年齢で、110年ほどは経っていると言われている、ピアノです。蝋燭台が両側についていたようですが、前の持ち主が綺麗に外したと話していました。

私の宝物です。引っ越しをするたびに一緒に運んで、ここまで来ました。年齢も年齢なので、お年寄りの歯ように鍵盤が所々ぐらつくこともありますが、とっても素敵な響きの音がします。弾いているだけで、癒されます。このピアノがきっかけで、ショパンのエチュードも弾けるようになりました。

このお気に入りのピアノを手放すことになるのは、とても残念です。そして、この豪華な生活ともお別れです。ついに4年ぶりに、また引っ越し先を探し始めることになりました。