私たちは、なぜ食べ続けるのか?寿命と食事の関係
目次:
私たちは、毎日食事をしています。
食事がなぜ必要なのか、どのような食事が理想的なのか。
健康と食に関する様々な情報が世界中を飛び回っている中、とても興味深いお話を見つけました。細胞生物学者のブルースリプトンさんの2024年6月号のニュースレターです。要約して、お伝えします。
1. 人間は本来、毎日食べる必要はない
定住して畑で作物を作り、食べ物を得る以前は、人間は小さな食べ物を集めて食べていました。
植物の種や葉っぱ、ナッツ、果物など野生のものを集めながら、小さな動物や小さな魚や貝を取って食べていたのです。
その後、狩猟生活を始めて、より大きな動物を食するようになりました。
現代のように、いつでも食べ物が得られる環境になかったので、人間は何日も食べなくても平気でした。その代わり、食べ物を見つけたときには、食い溜めをして生きていました。
もし、現代の私たちがこのような食生活をするのなら、飢餓に直面していると感じることでしょう。
2. 食とその弊害
食べ物の消化は、エネルギー源と同時に、細胞が生きるのに必要な代謝の構成要素の源になります。消化は「燃料を燃やす」ことに相当し、その過程から得られる熱は体温を摂氏37度に保ちます。
しかし、燃料を燃やすことは危険な副産物をも生み出します。例えば、石油燃料を燃やすと車の排気管から有毒な排気ガスが出るのと同様です。
動物が食べ物を消化すると、「排気ガス」として「フリーラジカル」という細胞代謝から生じる不安定な分子が生成されます。フリーラジカルは、細胞膜、タンパク質、DNAなどの細胞の部分を損傷します。
3. 人間は、150歳まで生きられる
科学では、本来人間の寿命は150歳くらいだと認識しています。それなのに、なぜ私たちは百歳まで生きるのに苦労しているのでしょうか?
短い寿命の問題は、私たちが食べ過ぎていることにあります。
フリーラジカルが、私たちの細胞を殺しているのです。
実験室の研究では、研究者はネズミ、犬、さらにはサルの寿命を、最低限の食事を与えることでほぼ倍にすることができることがわかっています。
人間の寿命も、必要最低限の食事で同様の結果が得られるであろうことが示唆されています。
私たちは、食べ過ぎや大食いによって、自らを早死にを選択しているのです。
食事の摂取量を必要最小限に抑えることによって、自然環境の破壊を食い止め、自分自身だけでなく地球をも救うことができるのです。
ブルースリプトン博士は、文章の途中で、植物が光合成によって得られたエネルギーで成長するように、「科学者は、メラニンによる水分子の解離を通じて放出される化学エネルギーが、体が必要とする細胞エネルギーの90%以上を占めていることに気づきました。」と説明しています。
日本語で専門用語を拾って理解しようと試みましたが、このような内容のものは日本語で見つけることはできませんでした。ですので、ぜひ原文をお読みください。
そして彼は、このように結論づけています。
食事というものは、生きるためのサバイバル目的というよりも、むしろ「楽しむ」ためのものである。
4. 腹八分目で医者いらず
日本のことわざで、「腹八分目で医者いらず。」というものがあります。
必要最小限で、お腹いっぱいまで食べる習慣をやめれば医者がいらないほど健康に生きられる、という意味です。ブルースリプトン博士のお話に通じるものがあります。
このことわざには、続きがあるようですね。
「腹六分目で老いを忘れる、腹四分目で神に近づく。」
これは、ヨガの教義なのだそうです。
例えば、「16時間断食」は、身体に16時間食べ物(栄養)を入れず飢餓状態を作ることで、自らの成分などを分解し細胞が活性化するというものです。
この細胞の活性化を「オートファジー」と言い、肌の再生や病気の予防(未病)、体質改善などにつながると言われ、数年前より注目を浴びています。
「自ら(Auto)」を「食べる(Phagy)」という意味を持つ「オートファジー(Autophagy)」。
2016年に東京工業大学の大熊良典栄誉教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したことで広く知られるようになりました。
細胞を内側から新しく作り替えるというオートファジーは、人だけでなく動物や植物、酵母に至るすべての真核生物すべてに備わっている細胞内の浄化やリサイクルシステムです。
必要なエネルギーを自然界から得られなくなった時は、自分の身体の中にあるものをエネルギー源として細胞を活性化させるのです。
今日も良いことがあるように
食べ過ぎが良くないことは、私自身よく理解しています。
日本に一時帰国して、食べたいものをたくさん食べた後、こちらに戻ってきて、アトピーのような湿疹が出て何ヶ月も治らず苦労したことがあります。
また同様に、食べ放題飲み放題の旅館に頻繁に宿泊に行っていた身内が、私と同じように湿疹が出て、さらに体調が悪化したことがあります。
5. 寿命と食事の関係
日本人が世界的にも長寿である理由の一つに、戦争の頃に十分に食べ物がなかったことと関係がある、と聞いたことがあります。当時子供だった世代が今、高齢者となり、彼らは実際に長寿です。
必要最小限の食事を日頃心がければ、人間はもっと長生きできるのでしょう。
このままいったら、有事の際には食料自給率の低い日本に住む人たちの6割が餓死する、などと言われています。
しかし、もし今のような十分な食料が得られなくなったとしても、今のようなペースで食べなければ、どうにかなるような気さえしてきます。
野山には、野生の動物たちが住んでいます。野草もあります。海からは塩だって、魚も海藻も、あります。
野生のものを食べると、人間が育てたものに比べてエネルギーが強いので、満腹感は持続します。
それに、日本には余っている土地が、たくさんあります。
さらに日本は自然に恵まれていて、作物が育つ環境は、整っています。
作物を育てるのに本来、肥料も農薬もいらないのですから、種さえあれば、飢餓など心配する必要などないのではないのでしょうか。
もちろん、空腹が続くのは大変辛いものであることは承知しています。
私は小学生の頃に、腹痛でいっさい食べ物を体が受け付けない状態になり、一週間ほど入院したことがあります。
そのとき、食べたいのに食べることができない辛さが、身に染みました。
また、戦時中に空腹を経験された方は、もう二度とそのような体験をしたくないと思われるでしょう。
しかし、食べることの主な目的がもし本当に「楽しむ」ためにあるのなら。。もう少し気楽に生きていけるような気がしてきました。
食べ物を、ほどほどに楽しみながら
食べ過ぎず、飲み過ぎず、明るく、前向きに、心豊かに生きていきたいものです。