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解決方法は、「顎を意識すること。」です。
人間のお腹というものは、週単位であっという間にぽっこりと出てしまうことを、知りました。そして同時に、そのお腹をあっという間にへこませる体験をしました。
日本に一時帰国してこちらに帰ってくるたびに、私の体は不調を起こします。ニュージーランドの美味しい白ワインが久しぶりに欲しくなり、小さなコップ一杯飲んだだけで、それは始まりました。顔中の湿疹が何ヶ月も続き、苦しんだのです。なぜか、赤ワインは大丈夫なのが不思議です。
そこで今回は、2か月半の日本での滞在で、何も考えずに食べたい、飲みたい放題をしてきたツケがまた出てくることを恐れて、対策をとってみることにしました。デトックスです。
本当は、桐の炭で試してみようと思っていましたが、購入してきませんでした。こちらでデトックスといえば、ミルクシスル(マリアアザミ)です。ミルクシスルは、チェルノブイリの事故の際に放射能のデトックスで有効だったという記事を読んだことがあります。今回は、ミルクシスルで1週間も経たずに肌まで綺麗になった、とう情報を見て、これは!と思い、喜んで試してみることにしました。
ミルクシスルは、散歩に出かけると山の中で見かけることもある、綺麗なお花です。こちらでは、ミルクシスルの入ったお茶もよく見かけます。私は普段サプリメントを取りませんが、今回は高濃度で効果がありそうなものを購入して、摂取しました。
ミルクシスルは肝臓機能を復活させ、デトックスに有効、便秘解消にもなり、副作用はほとんどないと言われています。ところが、私の場合はその真逆で、摂取した直後から便秘になりました。デトックスのためと、それでも頑張って10日ほど続けてみましたが、あまりにも便秘が解消されないためやめました。便秘が続いたために、みるみるうちにお腹がぽっこりと出てきて、本当にびっくりしました。
自然なデトックスの一番は、排便のはずです。それに相反することをしていたのですから、笑うに笑えない話です。西洋人と東洋人の体質は違うのかも、しれません。もちろん、個人差もあります。
デトックスのためにミルクシスルを摂ることをやめても、便秘はすぐには解消されませんでした。私の中での腸内環境のバランスが、崩れてしまったのでしょう。こんなに小さなカプセルが、身体に大きな影響を与えたことも、驚きでした。
結論を言えば、私の場合は夕食後のヨーグルトが一番即効性がありました。ヨーグルトは夕食後が一番効果的だということは、後から知りました。久しぶりにスッキリした日は、とても感動して嬉しくなりました。
しかし最近は、ここは酪農国にも関わらずヨーグルトの価格も高くなり、毎日ヨーグルトを食べることはあまり現実的ではないような気がしてきました。
そして、「病気にならない生き方」のドクター新谷弘実氏のことを思い出しました。ヨーグルトを毎日健康のためと食べている人の、腸相のお話です。私は、乳製品を毎日摂取することに、抵抗があります。
あずき茶は、自分であずきを煎って、作って飲んでみました。とても美味しいのですが、その時の私にとって即効性は実感できず、あずき茶作りの面倒な工程もあり、長続きはしませんでした。
キウィフルーツも、便秘解消に役立つ食材のひとつのようですね。キウィフルーツのナチュラルな錠剤があると勧められましたが、人工的なものはなるべく摂りたくないと拒否。キウィフルーツは、こちらは今夏で高価なため、あまり買う気にもなれませんでした。
「ドバドバ出る」などというキャッチフレーズに誘われて、YouTube動画もずいぶん見て試してみました。でも私にとっては、期待したほどの効果が得られた方法は、見つかりませんでした。
ところで、最近私の頭の中は、ある疑問でいっぱいでした。子供たちももうすぐ独立し、私もそろそろ日本に帰国することを考えています。歯科医師の仕事に戻るつもりはないのですが、やっぱり私にとっては、気になる分野です。もしかしたら気が変わって、もう一度歯科医師をする可能性もゼロではありません。
そこである情報を思い出し、なぜ寝たきりの高齢者が、適切な入れ歯を入れることで起き上がって、歩けるようになるのか、その疑問がずっと気になっていたのです。
そのようなタイミングで、日本とドイツで言語聴覚士の仕事をされていた知人と、ある話題になりました。その中で、丹田というキーワードが出てきました。丹田はおへその下、指3、4本分くらいの場所にあって、全身の気が集まる重要なツボ、エネルギーの中心部とされています。
丹田については、私は日本での数々の思い出があります。自分の出産後の体調不良で、長期間悩み続けていた頃のことです。丹田が大切だということを知り、訪ね歩いたところがありました。中村天風の施設でのセミナーと、肥田式強健術のセミナー合宿です。私にとっては、苦い記憶しかありません。
丹田については色々と言われていて、当時学んだことはまったく覚えていませんが、私の解釈の中では、「人間の身体が正常に効率良く、物理的また機能的に動くための、中心点。」という認識です。
肉体の物理的な面だけでなく、精神的なことについても、丹田は言及されています。身体の中心が正常にブレずに定まっていれば、身体の外側の動きも、また内側の身体機能も、本来あるべき正常な動きができるはずです。その結果、呼吸、自律神経が関連した精神的な機能も正常化されて、「あるべき健康な姿」を再現できるのではないのでしょうか。
丹田が大切なことは、理解しています。ただ問題は、日常生活において、意識的に「丹田を意識する」ことは、それほど簡単なことではないということです。丹田を鍛えることなどは、もっと簡単ではありません。
入れ歯の話に戻りますが、丹田は首から下の身体のことですから、頭の部分とはどのような関連があるのかという疑問が湧いてきます。丹田と入れ歯と、どのような関係があるのでしょう。私が顎の位置にこだわるのは、噛み合わせや顎の位置によって、本来の人間の「あるべき健康な姿」が変わってしまうという事実を知っているからです。歯科医師をしていた頃に、そのような事実を目の当たりにしてきた経緯があります。
人間は、大切な頭の部分を支えながら、下半身を使って動きます。動きの中心点がずれれば、調和された無駄のない本来の動きが、妨げられます。丹田が大切だというのなら、頭の部分とはどのように連携しているのでしょう。ここで、ある動画から大きなヒントが与えられました。
私は、丹田と関連づけて観ていました。丹田を意識するのは難しいけれど、顎の位置を意識することは、意外と簡単です。
・デスクワークをしていると、つい猫背になって顎が上がってしまっています。→顎を意識して、引く。
・いつも、何気なく歩いています。お腹がぽっこり、姿勢も悪い。→顎を意識して、引く。
すると、どうでしょうか。おへその上の部分が伸びて、姿勢が良くなります。丹田を無理に意識しなくても、丹田に力が入る状態になります。つまり、丹田、身体の中心点のバランスが、とりやすい状態にスイッチが入ります。
私は、この顎の位置を意識しながら、1日を過ごしていました。
デスクワークをしながら、顎が前に出ていることに気づいたら引っ込める。歩きながら、顎を引っ込める。このように、立っている時も、座っている時も、背筋がしっかりと伸びて、丹田を中心に「本来あるべき」動きができるような形で、過ごしていました。
すると、どうでしょう。1日の終わりに、今までにないスッキリお通じがあったのです!!
ぽっこりお腹も、スッキリしてきました。シドニーのしょうじさんの他の動画の中で、仙骨の位置が正されれば、長期的にはお腹まわりもすっきりとなり、くびれもできるというお話をされていました。
身体の中心が正常にブレずに定まっていれば、身体の外側の動きも、また内側の身体機能(内臓など)も、本来あるべき正常な動きができるはず、という推測は、あっという間に現実になりました。身体の位置を正すことによって、胃腸などの内臓が、本来あるべき機能を回復させた、画期的な出来事でした。
空手を少しやっていた娘が、よく「顎を引く」ことを指導されていたようです。私にはスポーツでいう重心や、動きについての知識はありませんが、顎を引くこと(同時に頭が上に持ち上がっている状態) によって、頭の位置がブレずに本来の位置に固定され、同時に下半身の丹田にも力が入り、そこを中心に(重心)人間本来あるべき力がスムーズに発揮される、ということだと理解しています。
顎を引くとは、どのような形になることを言うのでしょうか。
口腔領域を学んだ者としては、下顎安静位の状態にある、ということだと考えます。
下顎安静位とは、その名の通り顎が安静状態にある際の位置です。3つの理想的な状態があります。
下顎安静位は、咀嚼や会話などの口の動きがない時の状態です。安静位ですから、顎関節も顎周辺の筋肉も、リラックスした状態にあります。顎周辺だけでなく、全身的な筋肉がリラックスした状態だという説もあります。ですから下顎安静位では、無駄な力や動きを排除した、理想的な身体全体の動きが実現できる状態にある、という仮説が成り立ちます。
歯を食いしばって頑張らなくても、顎を引いて、口を閉じて舌の先端を上顎の前歯裏側中心に添える、という位置に持っていくことができれば、丹田にも力が入り、スムーズで力強い動きが、最小限の力で実現できるのではないのでしょうか。この場合、丹田に意識を向けるよりも、顎を引くことを意識する方が、上下の身体のバランスが取りやすく、一挙両得で簡単なのでは、というのが私の結論です。
このような記事も、見つけました。
「超人・室伏広治、下顎安静位でハンマーを投げていた」
顎を引っ込めて(同時に頭を持ち上げ)、下顎を安静位に保ち、姿勢を本来の理想的な状態で長時間過ごすことができれば、内臓も本来あるべき機能を果たすように働いてくれる傾向があることが、確認できました。私の場合は最近の悩みだった便秘が解消され、ぽっこりお腹も気にならなくなりました。
ところで、顎を引っ込めることが、物理的に難しい方もいます。鼻詰まりで呼吸が苦しければ、顎を上げて口をあけ、気道を確保するのは自然のことです。また、歯並びが邪魔をして、舌を理想的な安静位に持っていけない人もいるでしょう。すべての人たちが、意識的に顎を引っ込めることができるわけではないことを、明記しておきます。
呼吸をしないで、生きていける人は一人もいません。24時間7日365日、絶え間なく呼吸しているわけですから、腹式呼吸、丹田というキーワードが、健康の鍵を握るものだということに、今回は改めて気づかされました。そのためには何度も言いますが、まずは「顎を意識すること。」が大切です。
動画の8分27分あたりから、松永敦先生が次のようにお話しされています。先生は30代の頃に癌になり、抗がん剤の代わりにある方法を実践されて、回復されました。60代の現在でも肌艶が良く、とても若々しく、動画を見ているだけで元気をいただけます。
腹式呼吸の利点というのは、人間の体、要するに医学的、生理学的に言って、とても合理的に作られた歌い方ということなんですね。 (中略)
それ以外にもいい利点があります。
この肺の下にですね、血圧を調整するポイントがあります。上手に腹式呼吸していると、肺がそのポイントを刺激してくれるので、血圧が上手く調節されるということがあります。
血圧が調節されるとどうなるのか。
血流が良くなる、高血圧にならない、体は元気になる、リラックス状態を保てる、イライラしない。そしてもう一つ、この丹田に上手に力を入れて (中略)
背筋が伸びる、そしてどっしりと構えることができる、リラックスもする。そうするとですね、見た目にも美しくなりますしね、実際、体のいろんな具合を整えることが楽になります。
例えば「丹田 便秘解消」、「丹田 視力回復」など、丹田をキーワードに様々な情報が出ています。丹田はエネルギーの要なので、ありとあらゆる症状を改善する可能性を秘めているようです。顎を引っ込めて、姿勢を正し、腹式呼吸をして丹田を使うことによって、長期的に何か変化するような結果が得られたときには、またこの場でご報告させていただきたいと思っています。
どうぞ、みなさんも健康で明るい毎日を、お過ごしくださいね。